⑤④の生地をメレンゲの中にすべて入れ、湯せんをしながら、泡立てるように混ぜ合わせる。
「泡立てるようにってことは、メレンゲと同じってことだよね」
「そう! いいよいいよー。その調子でどんどん吸収して、私の右腕になってくれ」
十分、二十分と混ぜ続けていた疲れは、一周まわってどこかへ飛んで行ってしまったのか、混ぜ方も、湯せんの準備も、最初に比べたら手慣れてきた。……と、思う。
「全体が同じ色になったら、次に行くから。下からしっかり掬い上げて混ぜないと、食感とか味に響いてきちゃうから、気を付けてね」
「わかった」
下から。底から。濃い色が、薄い色に馴染んでいく。心が優しくなるような色合いが、ボウルの中に広がっていく。咲結さんの心は、きっとこんな、カスタードクリームよりも薄い。柔らかいどこまでも薄い、クリーム色なんだろうな。
教え方、接客態度。ふとした微笑み。
そのどれもが、背後にこのクリーム色が浮かんでいると感じた。
「おーい、手が止まってるよ」
「あ、ごめん」
「ううん、そうじゃないよ。なにかわかんないことあった? 遠慮なく聞いていいよ?」
「違うよ。ちょっと、考え事、してただけ」
僕が慌てて言うと、咲結さんは疑わし気な目つきで僕の顔をじっと見ていた。
「泡立てるようにってことは、メレンゲと同じってことだよね」
「そう! いいよいいよー。その調子でどんどん吸収して、私の右腕になってくれ」
十分、二十分と混ぜ続けていた疲れは、一周まわってどこかへ飛んで行ってしまったのか、混ぜ方も、湯せんの準備も、最初に比べたら手慣れてきた。……と、思う。
「全体が同じ色になったら、次に行くから。下からしっかり掬い上げて混ぜないと、食感とか味に響いてきちゃうから、気を付けてね」
「わかった」
下から。底から。濃い色が、薄い色に馴染んでいく。心が優しくなるような色合いが、ボウルの中に広がっていく。咲結さんの心は、きっとこんな、カスタードクリームよりも薄い。柔らかいどこまでも薄い、クリーム色なんだろうな。
教え方、接客態度。ふとした微笑み。
そのどれもが、背後にこのクリーム色が浮かんでいると感じた。
「おーい、手が止まってるよ」
「あ、ごめん」
「ううん、そうじゃないよ。なにかわかんないことあった? 遠慮なく聞いていいよ?」
「違うよ。ちょっと、考え事、してただけ」
僕が慌てて言うと、咲結さんは疑わし気な目つきで僕の顔をじっと見ていた。



