真っ白なガーベラのような君へ

⑧巻き終わりの面を下にして、十秒ほど焼く。

 そのまま皿に移すのかと思ったら、咲結さんが菜箸で卵焼きの巻き終わりの面を下にして、フライパンの壁に沿わせて立てた。
「巻き終わりの面を焼くと、お皿に移すときに崩れにくくなるんだよ」
「そうなの? 全然知らなかった」
 卵焼きの作り方も知らないくせに、どの口が言ってるんだ、と思った。
 火を消して、お皿を取り出す。
 どう移すのかと思ったら、お皿を片手で持って、そこに向かってフライパンをひっくり返した。
「これで完成。ほら、おいしそうだよ」
 咲結さんはそう言うけど、僕は納得できなかった。
 もっとちゃんとできるようになりたい。咲結さんと二人三脚できるように働くなら、ちゃんと。
「そんなに難しい顔しなくていいよ。私だって、初めからできたわけじゃないんだから」
「うん。でも、練習します」
 僕が言うと、咲結さんは嬉しそうに、どこかほっとしたように微笑んだ。