退魔? いいえ、お話を伺うぐらいです

 嫌な予感がする。びんびんする。
 いつもと違う何かを感じる。ナニこれ?
 呼ばれている、そんな感覚だ。

 行かなきゃいけない。使命感みたいなものがムクムク湧いてきた。
 これって、北畠翔太がわたしに訴えかけてきたときの、彼の感情に近いのかな。

 先祖うんぬんって、思いのたけを吐露(とろ)したあいつ。わたしに分かってほしくて、信じてほしくて必死に伝えようとした。
 それなのに、わたしは逃げちゃった。
 すっごくサイテーだ。
 あいつの声を聞こうともしなかった。
 将来の進路でカウンセラーを考えていた自分が恥ずかしい。あんなにも一生懸命に気持ちを届けようとしていたあいつに、わたしはそっぽを向いた。
 真剣とかマジメとかに、今まで鼻白んでいた。
 他人からどう見られるか、そればかりを意識していた。
 ひょっとしてそれが原因で、わたしの人生は灰色だったのでは?
 この人生は、わたしのものだ。
 わたしが行動しなきゃ、自分は変われない。 

 遠くから、まるで時空の向こうから、声が届く。
 北畠翔太の声。あと、知らないオジサンの野太い声。誰? どこか聞き覚えがある気もする。
 ――おまえか、それがしを呼んだのは。
 それがし? 時代劇みたいなしゃべり方だ。
 声が脳内に直接響いてくる。なに、この現象……て、これが怨霊傾聴師? じゃあ、あいつは怨霊を呼び寄せたということ? 
 体を前に傾け、足を浮かせる。腕を振る。いつしかわたしは、風を切って疾走していた。
 北畠翔太の家を目指している。美晴が収集していたあいつのプライベート情報が役に立った。(←今思えば、これって今の基準でヤバいよね。美晴、ストーカーじゃん)
 ――答えろ、あとそれがしをオッサン呼ばわりしたのも、おまえか。
 
 そこ、気にする!?