あの冬に奪われたもの

「ただいま~」

 …………

 あれ?だれもいない?

「おーい買い物行ってきた……え?」

 俺の目の前には血まみれで倒れてるお母さんがいた

「お母……さん……?」

 うそだ。なんでこんなとこで

「あぁぁぁ……」

 そうだ救急車……!

「電波全然届かねぇじゃんか……」

 俺は何もできないのか……?

「はぁはぁはぁ……」

 やば…呼吸が…………




「……んん?」

「あぁ…!良かった……!」

 おばあちゃん……?

「冷斗まで死なれたらおばあちゃん……もう……」

 そうか……あの時気を失って……

「お母さん……は…?」

 そう聞くとおばあちゃんはまたすすり泣き始めた
 あぁ、聞くんじゃなかったと。現実を受け入れる準備ができてなかったのに

「亡くなったよ……」

「……」

 ただ黙って大粒の涙が流れてきた。女手一つで育ててくれたのに。
 まだ恩返し一つもできてないのに。

「ごめんね……ほんとごめんね……」

 慰めをもらってもなにも響かない


 今回の事件は瞬く間に村中に知れ渡った
 神のたたりなんじゃないかとか、自殺じゃないかとかいろんな憶測が飛び回った
 警察にはもちろん相談したし捜査をしてもらったが、手がかりはなし。
 というより、こんな小さい村の事件まともに対応してくれてなかった
 
~ピロリン~

「誰だよ……」

 葵からだ

「大丈夫?大変なことになってるらしいけど。
 私でよかったら相談乗るよ!」

 今更何も変わらないんだ
 失ったものは二度と得られることはない

「どこで待ち合わせ?」

 本心にはあらがえないようだ

「公園わかる?位置送るね」



 肌寒い季節の公園は
 なんというか風情がある

「ごめーん!待った?」

「いや大丈夫だよ」

 前と変わらないトーンで喋ってきた

「それでなにがあったの?」

 俺はすべて話した

 たぶん誰かに言わなきゃ心がつぶれる気がしたんだろう

「そんな……冷斗のお母さんが……」

「俺は、だれがやったのか証明しなきゃならない」

「警察も動かないんじゃそうするしかないよね……でもそれで冷斗に何かあったら……」

「こんだけ失って何が残ってるっていうんだよ
 それに葵はそんな気遣う必要なんて……」

「気遣うよ!!」

 その時だけは普段喋ってる感じとは違った

「だって……あなたは……」

「なんだよ」

「いや……なんでもない。とにかくそういうことなら私も協力する」

「まぁいいさ、勝手にしてくれ」

「ほほう……面白い話聞いちゃったー!」

 おいおい今度は誰だよ

「翔真さん登場!」

「翔真じゃん!いつからいたのさ」

「え?君らが2人きりで会ってから?」

「最初からいたのかよ」

「いかにもいい雰囲気だったんで笑」

 おいおい、母親を失ったやつによく言えるな

「そういうことなら俺も協力しよう!」

「頼むから余計なことはしないでくれよ?」

「わかってるって!」

 ほんとに大丈夫なんだろうか

「……葵?」

「へっ!?」

「なんだ?熱でもあんのか?」

「だ、大丈夫だよ!3人でがんばろ!」


 なんかおかしな人たちが集まったもんだ