可能性は売ってない

次は花屋。

田端さんは鉢植えを並べていた。

「こんにちは」

「あ、フェンシングの子。新しいチラシ?」

「はい」

田端さんはチラシを受け取り、見出しを読んで笑った。

「前よりいいね。誰が考えたの?」

「……俺です」

「へえ」

その「へえ」が、少し嬉しかった。

嬉しいのを顔に出さないようにしたら、たぶん変な顔になった。

「記者さんの話、前にしたよね」

「はい。ねりま日和ですね」

「連絡してみたら?」

俺は喉が鳴った。

「でも、どうやって」

「小林さんのほうが詳しいよ。たしか、記者さんと昔からの知り合いだったはず。こばやし寄ってみたら?」

「小林さんが?」

「うん。商店街は狭いからね。いい意味でも悪い意味でも」

練馬の情報網、本当に怖い。

俺は田端さんに礼を言って、肉のこばやしへ向かった。