可能性は売ってない

学校に着くと、教室の空気は普通だった。

当たり前だ。俺と赤羽が夜の商店街で言い合いをしたからといって、世界が急に劇的な顔をするわけじゃない。黒板にはいつも通り日付が書かれているし、前の席の男子はいつも通り眠そうだし、窓の外では運動部の朝練をする生徒たちがだらだら歩いている。

俺が一晩中、言葉の刺さった場所を触っていても、世界は普通に朝を始める。

薄情だな、世界。

まあ、俺にだけ特別対応されても困るけど。