可能性は売ってない

それから数日間、俺たちは体験会の準備を続けた。

そして、さらに失敗した。

赤羽は学校で二度目の勧誘をした。
結果、クラスの男子二人が「予定が合えば」と言った。
予定が合えば、という言葉はたぶん人類が発明した最も便利な断り文句の一つだ。

俺は三組で、もう少し情報を入れて説明した。

「小学生でもできるし、防具をつけるから安全で、最初は足さばきから。剣も軽い」

前よりはましだったと思う。
でも、相手の反応は微妙だった。

「面白そうだけど、部活あるし」

「土日ならバイト」

「親がいいって言うかな」

「写真見せて」

写真。

俺はそこで詰まった。
スマホにクラブの写真がない。

練習中はスマホを出さないし、そもそも写真を撮ろうと思ったこともなかった。
俺にとってクラブは、金属音と匂いと足の痛みでできていた。

でも、知らない人には見えない。
見えないものに来いと言われても、そりゃ来ない。