その夜、俺は自分の机の前に座っていた。
スマホを開く。
検索履歴がひどかった。
『フルーレ 初心者 勝ち方』
『フェンシング 相手 速い 対策』
『フルーレ 攻撃権 わかりやすく』
『チラシ 見出し 体験会』
『地域イベント 集客 初心者』
俺は画面を伏せた。
何だこれ。
やる気のある人間の検索履歴じゃないか。
俺はまだ、やる気があるとは認めていない。
認めていないのに、スマホは正直だ。
機械に裏切られるのはつらい。
机の上には、三枝コーチからもらった一枚の紙があった。
仮入部届ではない。
正式な入部届。
仮入部届よりも、名前欄がはっきりしている気がした。
錯覚だろう。
紙は紙だ。
でも、紙は捨ててもいい、と三枝コーチは前に言った。
じゃあ、捨てられないものは何だ。
俺はその答えを、まだ言葉にできない。
でも、古いビルの白い床と、赤羽の声と、白石先輩の短い助言と、三枝コーチの軽口と、コロッケの匂いと、小学生たちの足音が、全部頭の中にあった。
スマホを開く。
検索履歴がひどかった。
『フルーレ 初心者 勝ち方』
『フェンシング 相手 速い 対策』
『フルーレ 攻撃権 わかりやすく』
『チラシ 見出し 体験会』
『地域イベント 集客 初心者』
俺は画面を伏せた。
何だこれ。
やる気のある人間の検索履歴じゃないか。
俺はまだ、やる気があるとは認めていない。
認めていないのに、スマホは正直だ。
機械に裏切られるのはつらい。
机の上には、三枝コーチからもらった一枚の紙があった。
仮入部届ではない。
正式な入部届。
仮入部届よりも、名前欄がはっきりしている気がした。
錯覚だろう。
紙は紙だ。
でも、紙は捨ててもいい、と三枝コーチは前に言った。
じゃあ、捨てられないものは何だ。
俺はその答えを、まだ言葉にできない。
でも、古いビルの白い床と、赤羽の声と、白石先輩の短い助言と、三枝コーチの軽口と、コロッケの匂いと、小学生たちの足音が、全部頭の中にあった。



