可能性は売ってない

商店街でも空回りした。

赤羽が作った試作チラシを持って、肉のこばやし、八百屋、パン屋、花屋を回った。

チラシの見出しは三枝コーチの案を採用して、『フェンシング体験会』になっていた。

ただし、その下に赤羽が勝手に小さく『君も剣士になろう!』と書いていた。

気持ちが強い。

小林さんはチラシを見て笑った。

「貼るのは貼るよ。けど、うちも今ちょっと大変でな。協賛ってなるとすぐには返事できない」

赤羽は勢いよく頭を下げた。

「貼ってもらえるだけで助かります!」

「慎太郎は元気だな」

小林さんは笑ったけど、その横にある『臨時会合のお知らせ』の紙が目に入った。

商店街全体が大変なのに、俺たちはその商店街に助けを求めている。

それが間違っているとは思わない。
でも、うまく距離を取らないと、ただ押しつけになる。

白石先輩の言葉がまた浮かぶ。

相手を自分の距離に置く。

人間関係にも、たぶん同じことがある。