可能性は売ってない

――放課後。

教室では、何人かが一緒に部活見学へ行く約束をしていた。

「青山くんはどっか見る?」

前の席の男子に聞かれて、俺は一瞬迷った。

「……まだ決めてない」

「そっか。俺らバスケ見に行くけど、来る?」

「あー……今日は、ちょっと用事」

「了解。またな」

「また」

いいやつだと思う。

たぶん、俺がもう少し前向きな人間だったら、こういう誘いに乗って、バスケ部を見学して、高校生活っぽい道に進んでいたのかもしれない。

でも、俺の足は校門へ向かっていた。

用事。

そう、用事だ。赤羽に「迎えに行く」とかいう迷惑行為をさせないための、自衛としての用事。俺は別に、フェンシングクラブへ行きたいわけじゃない。昨日のポイントがまぐれかどうか確かめたいわけでもない。赤羽にまた会いたいわけでもない。

自分で並べた否定文が、だんだん言い訳に見えてくる。

面倒くさいな、俺。