可能性は売ってない

三枝コーチが小さく手を叩いた。

「はい、きょろきょろしすぎない。設備差でポイントは入りません」

「入らないんですか」

「残念ながら」

「じゃあ安心しました」

「安心するところ?」

白石先輩は淡々と言った。

「床は床。剣は剣」

「先輩、かっこいいこと言いました?」

「事実」

赤羽はトロフィー棚を見上げていた。

「すげえな」

その声は、いつもより少し低かった。
羨ましいのか、悔しいのか、単純に興奮しているのか。
たぶん全部だ。