可能性は売ってない

電車に乗ると、窓の外を練馬の街が流れていった。

見慣れた住宅街。
マンションのベランダ。
踏切。
細い路地。
朝の商店街はまだ半分眠っているみたいで、シャッターの閉まった店の前を自転車が一台通り過ぎた。

赤羽は吊り革につかまりながら、足元で小さく前後に体重を移していた。

「電車でフットワークするな」

「してない。イメトレ」

「周囲から見たら落ち着きのない高校生だぞ」

「それは普段からじゃん」

「自覚があるのが一番怖い」