可能性は売ってない

駅で待ち合わせると、赤羽はすでにいた。

もちろん、声もでかかった。

「朔!」

「駅で叫ぶな」

「今日は試合だからテンション上げないと」

「上げ方が公共交通機関向けじゃない」

白石先輩は少し後から来た。
眠そうな顔で、片手にスポーツドリンクを持っている。

「おはようございます」

俺が言うと、白石先輩はうなずいた。

三枝コーチは、少し遅れて現れた。
いつもの黒いポロシャツではなく、クラブ名の入ったジャージを着ている。手には大きなバッグと、書類の入ったクリアファイル。

「おはよう。全員いるね」

「俺、まだ帰れる可能性ありますか」

「ない」