可能性は売ってない

その日の放課後も、赤羽は校門の前にいた。

「朔!」

「声」

「まだ呼んだだけだろ!」

「呼び方に音量という概念がある」

赤羽は制服の袖をまくって、カバンを肩に引っかけていた。

「今日、クラブ行くよな」

「行かない選択肢を聞く前に決めるな」

「あるよ、選択肢」

「へえ」

「行くか、すごく行くか」

「二択の体裁を取った一択じゃん」

「人生は前向きな一択でできてる」

「危険思想だな」

赤羽は笑いながら歩き出した。
俺も、その横に並ぶ。