可能性は売ってない

翌日、学校の階段は敵だった。

昨日まではただの建築物だったのに、今日は明確な悪意を持っていた。段差一つ一つが俺の太ももに「どうだ、昨日のフットワークは」と確認してくる。やめろ。建物が練習メニューを復習するな。

教室に入ると、前の席の男子が俺を見て笑った。

「青山、歩き方変じゃない?」

「普通」

「いや、なんかロボットみたい」

「最新型だから」

「階段で止まってたじゃん」

「省エネモード」

適当に返すと、相手は笑ってくれた。

俺は席に座る。座るだけなのに、太ももが小さく抵抗した。人間の体、持ち主にもう少し協力的であってほしい。