可能性は売ってない

――学校に着くと、教室ではもう何人かが部活の話をしていた。

「昨日、軽音見た? 先輩めっちゃうまかった」

「サッカー部、練習量やばいらしい」

「バスケ仮入部今日からだって」

仮入部。

その単語が耳に引っかかった。

別に俺だけじゃない。高校一年の四月なんて、みんな何かの仮だ。仮の友だち、仮の部活、仮の居場所。まだ何も決まっていないから、誰もが「とりあえず」って顔をしている。

なのに、俺だけが妙に大ごとみたいに感じている。

面倒くさいな、俺。