あの空の彼方にも、同じ世界が広がっている。

 ―――――僕は知ってしまった。
 人の生に限りがあるように、すべてのものに猶予期間があることに。


 公園でよく見掛ける可愛い子犬。
 連れている女の子と仲良く遊んでいる姿を眺める。
 でも、その楽しい時間は、あと7日と3時間24分しか残されていない。

 帰宅途中に声を掛けてくれる近所の老人。
 頭を下げてすれ違い、振り返って小さくなった背中を目で追う。
 もう、その年輪が刻まれた穏やかな表情をも見ることはできない。

 今もメールのやりとりをした愛しい彼女。
 絶対に離れることはないと指切りをして抱き締めた。
 それも、もう2週間余りで終わりを迎える。


 永遠を信じていたけれど、そんなものは妄想だと、終わらないものは存在しないのだと。
 嘘だとか、勘違いだとか、そんなものではなくて、ただ、決っていることなのだと。

 知らなければ良かったのか。
 知ってしまったことは悪なのか。
 始まりと終わりが同じ意味なのであれば、何も始まらなくていい。
 どうにもならない現実ならば、何も見えない方がいい。


 僕はタブレットから視線を外し、明日の単語テストに思考を切り替えた。