神様は誰?

しばらくして、オラクルのアカウントは消えた。

でも、消えたのは画面上の名前だけだった。

警察は追っている、と真鍋刑事は言った。

でも、オラクルは、いくつもの名前を使っていた。
年齢も違った。
性別も違った。
住んでいる場所も、投稿時間ごとに違った。
中継されたサーバー。
公共Wi-Fi。
使い捨てのメールアドレス。
一度だけ使われた端末。
削除されたクラウド。
拾いきれないスクリーンショット。

「逮捕直前に消えた、というより」

真鍋刑事は言った。

「最初から、消える前提で動いていたのかもしれない」

オラクルは、完全には捕まらなかった。

その言い方も、正確ではないのかもしれない。
捕まえるべき本体が、一つではなかったのかもしれない。
一人の人間だったのか。
複数の人間だったのか。
途中から誰かが真似したのか。
オラクル自身が、もう別のオラクルに移っていたのか。

分からなかった。

分からないということが、いちばん怖かった。