神様は誰?

――報道では、私たちは簡単な名前をつけられた。

『高校生グループによる悪質SNS運用』

『匿名アカウント「神様の声」事件との関連を捜査』

『外部投票、自動投稿機能を用い、閲覧者の反応を投稿文に反映か』

『十代の間で広がった「神託」型投稿』

『専門家「匿名性と集団心理が責任感を薄めた可能性」』

『関与した高校生六人を学校が処分』

『警察は任意で事情聴取を継続』

――高校生グループ。

――悪質なSNS運用。

その言葉は間違っていない。

でも、足りないと思った。

足りないからといって、報道に全部を説明できるわけではない。

新は、しばらく学校に来なかった。
来た日、いつものみたいに笑おうとして、笑えなかった。

慧は、処分通知を受け取ったあと、私に言った。

「俺は止めたって、ずっと言いたかった」

私は頷いた。

慧は続けた。

「でも、止めたなら、止めきるべきだった」

それ以上は言わなかった。

陸は、パソコンを触らなくなった。
少なくとも、私たちの前では。
でも、指先だけは、今でもときどき空中で何かを打っている。

咲は、前より少しだけ口数が減った。

ある日、廊下で私に言った。

「見てるだけでも、罪なんだよね」

私は答えた。

「うん」

咲は頷いた。

「それも、ログに残ればよかった」

その言葉には、初めて後悔みたいなものがあった。

杏は、相談事を一切受けなくなった。

「もしまた相談があったら、神様じゃなくて、私として聞く」

杏はそう言った。

私は、それを少し眩しいと思った。

私は、供述を何度もした。

同じことを何度も聞かれた。

誰が言ったのか。
誰が投稿したのか。
誰が設定したのか。
誰が止めなかったのか。
誰が、言葉を作ったのか。

そのたびに、私は答えた。

私たちです。

そして、その「私たち」の中に、自分をちゃんと入れた。

それは、罰を受けるためだけの言葉ではなかった。

私が、私の言葉を取り戻すための言葉でもあった。