神様は誰?

――翌朝。

テレビの音で目が覚めた。

眠ったのかどうかも分からなかった。

母がリビングでニュースを見ていた。

「澪、これ、あなたの学校の近くじゃない?」

私は返事をしなかった。

画面には、昨日と同じ白い広場が映っていた。

でも、朝の光の中では、白いツリーはただの骨みたいに見えた。

アナウンサーが言った。

「警察は、現場で取り押さえられた十七歳の高校生から事情を聞いています。この高校生は、被害者と何らかのトラブルがあったとみられ、調べに対し――」

そこで、音が一瞬遠くなった。

続きが来ることを、体が先に知っていた。

「――『神様の言うとおりにしました』と話しているということです」

私は、テレビの画面を見たまま固まっていた。

その時、スマホが鳴った。

非通知ではなかった。

知らない番号。

手が震えて、うまく取れなかった。

二回目の着信で、私は通話ボタンを押した。

「……はい」

自分の声が、自分のものではないみたいだった。

電話の向こうは、静かだった。

それから、低い男の人の声がした。

『葉山澪さんの携帯で間違いありませんか』

「はい」

『県警の真鍋と申します。神様の声、というアカウントについて、お話を伺いたいことがあります』

喉の奥が、ぎゅっと縮んだ。

『署まで来ていただけますか』

私は返事をしなければならなかった。

はい、と言うだけでいい。

でも、なかなか声が出なかった。

私は、息を吸った。

そして、まだ自分の言葉になっていない声で言った。

「……はい」

通話が切れたあと、画面が暗くなった。

暗い画面に、私の顔が映っていた。

神様ではない顔。

でも、神様の口だった顔。