神様は誰?

――21時29分。

私は家の自分の部屋にいた。

机の上には教科書が開かれていた。
数学の問題が並んでいた。
でも、数字は何も頭に入らなかった。

スマホは机の上に置いていた。
触らないように、少し離していた。

触らなくても、投稿される。

そのことを、私は確かめたかった。
確かめたくなかった。

21時30分。

通知音が鳴った。

【神様の声 @kamisama_no_koe_000】

『神様は言う――謝れなかったものは、沈黙の中で重くなる』

21:30
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本当に投稿された。

当たり前だ。
予約したのだから。

それなのに、背中が冷えた。

私は何もしていない。
その瞬間、指一本動かしていない。
投稿ボタンを押していない。

でも、投稿文には、私の匂いがあった。

私の言葉みたいだった。
でも、私が書いた文そのものではなかった。

外部投票の結果。
返信欄の単語。
陸の仕組み。
私のテンプレート。
予約された時刻。

それらが混ざって、神様が喋った。

六人のグループチャットが動いた。

篠原新『出た』

加賀陸『成功』

望月杏『ちゃんと出たね』

早川慧『成功って言うな』

桐谷咲『誰が言ったの?』

その一文で、チャットが止まった。

誰が言ったの。

相談者か。
投票した人たちか。
単語を拾った仕組みか。
テンプレを書いた私か。
予約した陸か。
それを許した私たちか。

誰が言ったの。

答えられなかった。