神様は誰?

――ある夜、オラクルがある提案を送ってきた。

【オラクル/DM】

『予約投稿と自動化を使えば、神様はいつでも声を出せます。』

私は、画面から目を離せなかった。

予約投稿。
自動化。

その言葉は、冷たい金属みたいだった。

すぐに、六人のグループチャットが動いた。

陸だった。

加賀陸『オラクルから来た。見た?』

篠原新『神様、不眠化?』

望月杏『自動化って、どういうこと?』

篠原新『眠らない神様、強いな』

慧『絶対にやるな』

桐谷咲『神様が眠らないと、人間が眠れなくなる』

咲の言葉で、チャットが止まった。

私は、スマホを握ったまま、布団の上に座っていた。

眠らない神様。
予約された神託。
自動で出る言葉。
誰もその時間に起きていなくても、白い面が喋る。

言ってない。

その言い訳が、未来から聞こえた気がした。

その時は寝ていた。
その時は押していない。
その時は自動だった。
その時は仕組みが動いただけ。

言ってないを可能にする仕組み。

その夜、少しだけ分かった。

神様が眠らなくなったら。

私たちは、もう誰の口から出た言葉なのか、分からなくなる。

葉山澪『嫌な予感がする』

送信してから、すぐに後悔した。

曖昧すぎる。
弱すぎる。
止める言葉じゃない。

慧が返した。

早川慧『予感じゃない。危険だ』

陸はしばらく返さなかった。

そして、短く送った。

加賀陸『でも、できる』

その一文を見た瞬間、部屋の空気が冷たくなった。

できる。

できることは、いつも私たちを前に進ませた。