神様は誰?

――それから数日、オラクルは外側の協力者になった。

そう呼ぶことにしたわけではない。

でも、そうなっていた。

オラクルは返信欄を整理した。
拡散されやすい時間を提案した。
荒れそうな語を警告した。
懺悔室に入れる注意書きの言い回しまで送ってきた。

【オラクル/DM】

『「晒しは禁止です」と書くと、神様が怯えたように見えます。
「罪を増やす行為は祈りではありません」と書くと、神様の文体を保ったまま攻撃を止められます。』

『供え物への返信は、事務的すぎると信者が離れます。
ただし、受領の表現は避けてください。
候補:「置かれたものより、置こうとした心を見ています。ただし、神様は対価を求めません」』

『投稿は二十一時台が最も深く刺さります。
二十三時以降は自己罰型が増えます。
深夜の神託は強く読まれすぎます。』

陸は、それを見て感心した。

「この人、データ見てる」

新は面白がった。

「信者代表どころか、神様コンサルじゃん」

杏は、少し楽になった。

「分類してもらえると、どれから読めばいいか分かる」

慧は、ずっと警戒していた。

「外部の人間を入れるな。何度でも言う」

咲は、観察していた。

オラクルの文体を。
陸の反応を。
杏の表情を。
新の軽さを。
慧の苛立ちを。
そして、私の沈黙を。

私は、オラクルの言葉を見るたびに、自分の中の場所が狭くなっていくのを感じていた。

投稿文を作る時、前より迷うようになった。

これは私の言葉なのか。
神様の言葉なのか。
オラクルが先に書いた言葉なのか。
それとも、みんなが望む神様の形を、私がなぞっているだけなのか。

自分の言葉が、自分のものではなくなる。

それは、最初からそうだったはずなのに。

私は今さら、それを怖がっていた。