神様は誰?

オラクル、という名前は、その夜から返信欄の上に居座った。

黒い背景。
小さな白い点。
説明欄には、短く。

神様の言葉を聞く者。

それだけだった。

それだけなのに、目が離せなかった。

『神様の声は、もっと正しく響かせられる』

その一文は、私たちを責めているようでもあった。
助けようとしているようでもあった。
もっと言えば、私たちより先に、神様の中身を分かっている人の言葉みたいだった。

私はベッドの上で、何度もその投稿を読み返した。

もっと正しく。
響かせられる。

正しく、という言葉は怖い。

だって、正しいと思った瞬間、人は強くなれる。
強くなった人は、自分が誰かを傷つけていることに気づきにくくなる。

私たちはもう、それを見ていた。

雨音。
晒し。
暴露。
泣いていた三組の子。
そして、神様の言葉を理由にした人たち。

なのに、オラクルの言葉は、返信欄で静かに増えていった。

【返信】

『オラクルさん、神様の言葉まとめてる人だよね』

『運営より分かってそう』

『正しく響かせるって、どういうこと?』

『神様の声、最近荒れてるから整理してほしい』

『オラクルさんが聞き役になればいいのに』

運営より分かってそう。

その言葉を見た瞬間、胸の奥が少し痛んだ。

運営。

私たちはいつの間にか、神様ではなく、運営と呼ばれていた。
神様の言葉を出しているのに。
神様の文を整えているのに。
神様の返信を選んでいるのに。

でも、神様そのものではない。

その線引きは、私たちが最初に作った逃げ道だった。

神様が言う。
私たちは整えるだけ。

その逃げ道を、外の人たちも見つけてしまった。