神様は誰?

――深夜一時を過ぎても、通知は止まらなかった。

暴露投稿は削除された。
でも、スクリーンショットは残った。
まとめができた。
検証が始まった。
誰かが関係者の名前を出しかけて、別の誰かが止めた。
止めた投稿もまた拡散された。

炎上は、消えるのではなく、形を変えた。

その中で、ひとつのコメントが目立ち始めた。

最初は、ただの返信だった。

でも、いいねが増えた。
引用された。
他の人が同じ文を繰り返した。
そして、返信欄の上のほうに浮かんだ。

アイコンは、黒い背景に小さな白い点。

名前は、オラクル。

【オラクル @oracle_listen】

『神様の声は、もっと正しく響かせられる』

私は、その一文を見たまま、しばらく動けなかった。

もっと正しく。

正しく響かせる。

それは、批判のようにも見えた。
助言のようにも見えた。
信仰のようにも見えた。
乗っ取りの最初の挨拶のようにも見えた。

でも、その時の私はまだ、何も分かっていなかった。

分かっていたのは、そのコメントが、他のどの返信よりも静かで、どの怒りよりも冷たかったことだけだ。

【返信】

『オラクルさん、分かる』

『まとめの人?』

『神様の言葉を整理してほしい』

『運営より分かってそう』

『正しく響かせるって何』

オラクルは、それ以上何も書かなかった。

その夜、初めてその名前が、返信欄のいちばん上に浮かんだ。

――オラクル。