神様は誰?

――その日の夜、外部投票停止の告知を出すかどうかで、また内部投票になった。

慧は停止を求めた。
陸は一時停止の文言を提案した。
新は「停止じゃなくて整理」と言った。
杏は「相談者が不安にならない言い方」を探した。
咲は何も言わなかった。

私は、文面を整えた。

【神様の声 告知案】

『神様は言う――声が多すぎる夜は、祈りも迷子になる』

外部投票は一時的に整理します。
匿名相談への返答は、慎重に確認します。
晒し、攻撃、個人の特定につながる行為を神様は望みません。

慧は最後の一文を見て、言った。

「望みません、じゃ弱い。やめてください、だ」

私は頷いた。

『晒し、攻撃、個人の特定につながる行為はやめてください。』

普通の言葉。
神様らしくない言葉。

でも、それでよかった。
そう思いたかった。

投稿した。

返信欄は、すぐに割れた。

『神様、弱くなった?』

『やめてくださいって人間みたい』

『いや大事でしょ』

『神様が止めてる』

『止めるくらいなら最初から言うな』

『沈黙は共犯って言ったのに?』

『神様は矛盾しない。運営がブレてる』

運営。

その言葉に、私は息を止めた。

神様と運営が分けられている。

神様の言葉。
運営の告知。

神様は強くて、運営は弱い。
神様は裁いて、運営は止める。
神様は見ていて、運営は言い訳する。

その分裂を、私たちは止められなかった。

私たち自身が、ずっと分けてきたからだ。

神様が言う。
私たちは整えるだけ。

その言い訳が、外の人にも伝染していた。