神様は誰?

――翌日、校内では白い面が増えていた。

怖がっている人もいた。
面白がっている人もいた。
怒っている人もいた。
救われたと言う人もいた。

同じ投稿を見ているのに、みんな違う神様を見ていた。

廊下で、誰かが言った。

「神様、昨日やばかったね」

別の誰かが答える。

「でも、あれで止まるならよくない?」

「止まるかな」

「少なくとも、見てるだけのやつはビビるでしょ」

見てるだけ。

その言葉が、咲のほうを向いた気がした。

咲は私の隣を歩いていた。

表情は変わらない。

「澪」

咲が言った。

「何」

「外部投票って、便利だね」

私は足を止めそうになった。

でも、止めなかった。

「便利?」

「うん」

咲は前を見たまま言う。

「誰も神様じゃなくなる。みんな、神様の一部になる」

その言葉が、背中に冷たいものを落とした。

「咲は、それが面白いの?」

咲は少しだけ私を見た。

「怖い」

短く答えた。

「でも、目が離せない」

それは、たぶん私も同じだった。