神様は誰?

――ファミレスを出る頃には、空が暗くなっていた。

自動ドアが開くと、外の湿った空気が体にまとわりついた。
新は「暑っ」と言って、制服の袖をまくった。
慧はメモ帳を鞄にしまいながら、まだ少し不機嫌そうだった。
陸は歩きスマホをしながら、アカウントの設定を確認していた。
杏は何度も通知欄を見ていた。
咲は少し後ろを歩いていた。

私は、六人の真ん中あたりにいた。

いつもの場所だ。

先頭でもなく、最後でもない。
誰かが言いすぎたら間に入れる場所。
誰かが置いていかれそうになったら、歩幅を合わせられる場所。

「澪」

杏が隣に来た。

「さっきの文、ありがとう」

「私は整えただけ」

言ってから、自分で少し笑った。

その言い方が、便利だったからだ。

整えただけ。

考えたのは新。
仕組みを作ったのは陸。
ルールを決めたのは慧。
相談を受けたのは杏。
アイコンを選んだのは咲。
私は、整えただけ。

六人でやれば、誰のせいでもない。

それはその時、私たちの友情みたいに見えた。

「でも、神様っぽかった」

杏は言った。

「澪の言葉って、きれいだから」

きれい。

その言葉が、少し怖かった。

「怖いほうって、何なんだろうね」

杏が言った。

「告白することじゃない?」

私は軽く返した。

杏は首を傾げた。

「でも、あの相談の子、本当に怖いのはそこじゃない気がした」

「どこ?」

「分かんない」

杏は小さく笑った。