神様は誰?

――翌日の放課後。
六人はファミレスに集まらなかった。

誰も「集まろう」と言わなかった。

でも、グループチャットは動いていた。

早川慧『一時停止する。今夜、投稿しない』

篠原新『賛成』

加賀陸『一時停止なら告知がいる』

望月杏『相談者が不安になる』

早川慧『不安にさせても、続けるよりまし』

桐谷咲『神様が黙る夜』

新がそれに返した。

篠原新『詩みたいに言うな』

咲は返さなかった。

私は、画面を見つめていた。

神様が黙る夜。

それは、少しだけ救いに聞こえた。

投稿しない。
返さない。
見ない。
何もしない。

でも、スマホは鳴った。

一件。
二件。
三件。

【神様の声/DM】

『神様、今日はいないんですか』

『供え物しました。見てください』

『昨日の神託、私も刺さりました』

『神様、私のことも罰してください』

『神様、黙らないで』

神様、黙らないで。

その言葉を見た瞬間、私はスマホを伏せた。

でも、伏せても通知音は聞こえた。

神様は黙っている。
でも、神様を呼ぶ声は止まらない。

私たちは、もう神様を作ってしまった。
そして、作ったものに、呼ばれている。

その夜、私は一行も投稿しなかった。
それなのに、眠れなかった。

雨音のDMが、頭の中で何度も繰り返された。

『神様の言う通りにしたら、すっきりしました。』

私は、布団の中で目を閉じた。

違う。

私は、言ってない。

誰にも、晒せなんて言ってない。
誰にも、罰しろなんて言ってない。
誰にも、神様の言う通りにしろなんて言ってない。

でも、その言い訳は、もう前より小さかった。

小さくて、軽くて、頼りなかった。