神様は誰?

――次の日、供え物は三つに増えた。

【神様の声/DM】

『昨日の神託、友達に送ったら泣かれました。
でも、話せました。
神様、ありがとうございます。
カフェラテ飲んでください。

ドリンクチケット:****』

『供え物です。
お菓子のギフトコードです。
少しでも神様に届きますように』

『お金じゃなくて、気持ちです。
使わなくてもいいです。
置いておきます』

置いておきます。

その言い方が、私は嫌だった。

神社の賽銭箱に小銭を落とすみたいに。
仏壇に果物を置くみたいに。
玄関先に花を置くみたいに。

私たちのDM欄に、誰かがチケットを置いていく。

軽い。
小さい。
300円。
150円。
カフェラテ。
チョコ。
グミ。

でも、置いていく。

返しても、また来る。

新は、だんだん隠さず面白がるようになった。

「神様、甘党設定?」

「篠原」

「いや、使わないのは分かってるって。でもさ、すごくない? 何もしてないのに供え物が来るんだよ」

「何もしてないわけじゃない」

慧が言った。

「投稿してる。懺悔室を開いてる。返してる。人を動かしてる」

「人を動かしてるって言い方、怖いな」

「怖いことをしてるんだよ」

その言葉に、新は少しだけ黙った。

陸は、供え物の件数も数え始めた。

「とりあえず記録したほうがいい」

「記録?」

慧が嫌そうに聞く。

「使用しないにしても、何が送られてきたか把握しないと。あと、同じ人が何回も送ってくるかもしれないし」

「同じ人かどうか、分かるの?」

杏が聞く。

「DMなら分かる。懺悔室と紐づけるのは無理だけど、名前が同じなら一応」

「紐づけるな」

慧がすぐに言った。

「絶対に。供え物した人を優先するとか、そういうのはなし」

「分かってる」

陸は少しむっとした。