神様は誰?

――翌日の学校は、いつもと同じ顔をしていた。

廊下では誰かが笑っている。教室では小テストの点数を見せ合っている。先生はいつも通り黒板の字が小さい。昼休みには購買のパンが売り切れる。

世界は、何も知らないふりがうまい。

でも、三時間目の終わりに、杏からメッセージが来た。

望月杏『#017の子からDM来た』

私はすぐにスマホを開いた。

本当は授業中だった。

でも、そんなことはどうでもよくなっていた。

杏がスクリーンショットを貼った。

【神様の声/DM】

『昨日の嘘の相談をした者です。

今日、本当のことを話しました。

友達は泣きました。
疑われていた子にも謝りました。
許してもらえませんでした。

グループはもう戻らないと思います。
たぶん、私は一人になります。

でも、言いました。
神様が言ってくれたからです。

ありがとうございました。』

私は、画面の最後の一行を何度も読んだ。

ありがとうございました。

どうして。
どうして、ありがとうなの。
許してもらえなかったのに。
友達をなくしたのに。
一人になるかもしれないのに。

私たちの言葉が、その子の背中を押した。
その子は本当のことを言った。
関係は壊れた。

でも、ありがとうと送ってきた。

私は椅子に座ったまま、手が冷たくなっていくのを感じていた。黒板では先生が何かを説明している。教室の窓が少し開いていて、7月の風がカーテンを揺らしている。

普通の教室。
普通の授業。
普通の午前。

その中で、画面の中だけが別の温度を持っていた。

その時、スマホが鳴った。

神様の声の通知だった。

白い面のアイコンの横に、短い文字が表示されている。

【通知】

『神様の声のフォロワーが100人を超えました。』