無能薬師の娘、最強武将の花嫁候補になります

誠一郎さまは続けた。

「君の力は、今日のことで皆が見た。朝霧堂に戻り、私と婚約し直せば、家も立て直せる。私が取りなせば——」

「黙れ」

朔夜さまの声が、刃よりも鋭く落ちた。

誠一郎さまはびくりと肩を震わせた。

朔夜さまは私の前へ半歩出た。私を背に隠すのではなく、隣に立たせたまま、誠一郎さまの言葉だけを断つように。

「小夜は、お前が都合よく拾い直せるものではない」

胸の奥が、熱くなった。

「お前は小夜の言葉を疑い、千景を庇い、証拠を遮った。今度は千景を捨て、小夜の力にすがるのか」

誠一郎さまの顔が赤くなり、それから白くなる。

「私は、ただ朝霧堂と小夜のためを思って」

「小夜のためと言うな」

朔夜さまが低く言った。

「お前のためだ」

私は袖の中で指を握った。