無能薬師の娘、最強武将の花嫁候補になります

私は膝の力が抜けそうになった。

「すみません……全部はできませんでした」

悔しさが喉に上がる。

「黒い筋は、まだ残っています。深いところは、今の私にはほどけません」

「十分だ」

朔夜さまは膝をついたまま、掠れた声で言った。

刀を握る手が、少しずつ力を取り戻していく。指が柄を探り、また握る。

「お前がいるから、俺はまだ立てる」

その言葉に、胸の奥が熱くなった。

泣いている暇はない。