薄紅の香包みは、朝の光の中で見ると、いっそう頼りなく見えた。
弥太くんの小さな息がようやく落ち着き、母親が泣きながら何度も頭を下げるのを、私はうまく受け止めきれないまま、朔夜さまの屋敷へ戻った。市場の喧噪も、町人たちの揺れる視線も、遠くで鳴る桶の音も、帰り道のあいだ、薄い布の向こうから聞こえてくるようだった。
けれど、手の中の包みだけは、やけにはっきりとそこにあった。
直接触れぬよう、清い布で二重に包んだはずなのに、甘い焦げ香は消えなかった。蜜を火に落として焦がしたような、どこか懐かしく、けれど喉の奥をざらりと掻く香り。鼻先に残るたび、弥太くんの細い喉に絡んでいた黒い糸が思い出された。
弥太くんの小さな息がようやく落ち着き、母親が泣きながら何度も頭を下げるのを、私はうまく受け止めきれないまま、朔夜さまの屋敷へ戻った。市場の喧噪も、町人たちの揺れる視線も、遠くで鳴る桶の音も、帰り道のあいだ、薄い布の向こうから聞こえてくるようだった。
けれど、手の中の包みだけは、やけにはっきりとそこにあった。
直接触れぬよう、清い布で二重に包んだはずなのに、甘い焦げ香は消えなかった。蜜を火に落として焦がしたような、どこか懐かしく、けれど喉の奥をざらりと掻く香り。鼻先に残るたび、弥太くんの細い喉に絡んでいた黒い糸が思い出された。



