午前零時、籠にいられない私は裸足で舞う

 結婚式が終わり、私はというと彼を待つ。

 髪も服も整えた。

 寝台に座って彼を待つも、来る気配は無い。

 不安になって、皇后教育のときに使っていた教本を開く。


『初夜は結婚式後の夜に有り。しかと務めよ。』


 あれ、今日結婚式でしたよね?

 今、その夜ですよね?

 彼はなかなか来ませんが?

 そのまましばらく待っていたら、部屋の戸を叩く音が聞こえた。

 彼なのか、と思い返事をして戸の前に行く。

 しかし戸を開けば彼の姿ではなく代わりに侍女だった。


「夜分遅くに失礼いたします。陛下からの伝言を預かっております。今日は休むように、と。」


 そ、それだけ?


「以上でございます。」


 分かっている。

 侍女は悪くない。

 ただ陛下の意志を伝えに来てくれただけ。

 ここで彼女の前で感情をぶつけたりするのは違う。

 分かってる。

 ちゃんと分かっているの。


「そうなのね。分かりました。ありがとうございます。」


 戸を閉めて、寝台に座りそのまま寝そべる。

 整えられた髪と服が少し乱れたけど、構わない。

 どうせ来ないのだから。

 彼を考えれば考えるほど分からない。

 どうして私と結婚したのか。

 彼の身分や名声、地位、名誉なら完美大陸中の女性のみならず世界中の女性を虜に出来るだろうに。

 そんな彼がなぜ、私なんかと?

 高級な調度品で溢れる広い部屋が鳥籠のように感じる。