午前零時、籠にいられない私は裸足で舞う

 そして、翌日から怒涛の皇后教育が始まった。

 礼法や言葉遣い、常帝国含め世界中の歴史、神事での役割、重役の顔と名前など…その他諸々。

 学ぶのは楽しかったし苦じゃなかった。

 皇后教育がずっと続けばいいのに…なんて思ったこともあった。

 だけどそんな願いも虚しく、とうとう皇帝陛下と私の結婚式が始まった。

 この日のためだけに、披露宴壁や机に施された花たち。

 この日のためだけに、お祝いをしにわざわざ遠いところからやって来た役人。

 賑やかでとても派手で、普通の女の子なら喜ぶ場なのに喜べない自分がいる。

 あの物語の主人公はこんな想いをしたのだろうか?

 祝われて喜ぶべき日なのに、体は此処に心は他所に、の私が皇后になっていいのかな?

 本当は、この場にいちゃいけないのに…。

 淡々と形式だけの結婚式が進んでいく。

 隣にいる夫となる彼を見る。

 ちなみに、彼とはあの初めて出会った皇帝陛下即位一周年記念の宴以来会っていない。

 彼は仏頂面で余興を眺めていて、何を考えているのか全く分からない。

 どうして、ただ後ろで踊っていただけの私を皇后にしようと思ったのか。

 そう考えていれば、


「どうした皇后。余興はつまらぬか?」


 話しかけられた。


「いえ、どの余興も面白く、見るだけで楽しいです。」


 皇后らしい笑みを顔に貼り付けて彼にはそう言ったけど、本音は彼の考えていることが分からなくて余興どころじゃない。

 普段なら、大道芸も舞も心を動かされるはずなのに。

 今日だけは動けない。

 全てを呑み込むように飲み物を飲む。