午前零時、籠にいられない私は裸足で舞う

「止まれ。」


 突如、低い声が舞と音を止めた。

 私含めて皆その声一つで動きを止めて跪く。


「そこの後ろの舞姫。顔を上げろ。」


 私以外の後ろの舞姫達は顔を上げる。

 まさか、バックダンサーの舞姫の一人が皇帝陛下を射止めたというのか。

 なら、それは私じゃないなんて思っていたら、


「ほう、我の命令を聞かぬのか。面白い。」


 靴の音が妙に響く宴会場。

 その音が近づくたびに鼓動が早くなっていくような気がする。

 しばらくして、靴の音が止まり視界に高価そうな靴が入る。

 ゆっくり顔を上げれば、私でも分かる。

 この場を短い言葉一つで支配できる人物。

 目の前にいる彼こそが常帝国の皇帝、王承曜だ。


「名は?」


 圧倒的存在感を放ったまま、その人は尋ねた。


「慕容和心です。」


 そう答えれば彼は跪く私の手を突然握り、私を立たせた。

 そして、次にこう宣言したのだった。


「慕容和心を我の妃、及び常帝国の皇后にする。」

 と。