午前零時、籠にいられない私は裸足で舞う

 順番はちぐはぐになってしまったような気がするけど、十年の歳月を埋めるように私たちは同じ道を歩いた。

 もちろん、行先は後宮。

 そうそう、承曜がどうして市場にいたのか…。

 それは、しょっちゅう市場に来て街の治安はどうなっているのかお忍びできていたらしい。


「でも、どうして承曜自ら?」

「これだ。」


 巻物を渡される。

 この巻物は常帝国の法律が書かれているものだけど、一番最後に


『ナシュタ・サバヤター国の一件を反省し、宗教と政治は結び付けてはならぬ。そして、違う宗派であっても宗教だけで人を判断せず争い、差別、迫害を避けるべし。これを破ったものは重罰に処す。』


「承曜、これって…。」

「あぁ、世界各国が今はこの法律のもと動いている。」


 それって、つまり…。


「もう、和心は生きるのが罪の人間じゃない。この世界でたった一人の特別な人間だ。」

「承曜っ…!」


 人の当たり前のようにあった価値観を変えた彼。

 何年とかかっただろうか。


「まぁ、我一人の力だけではなくニティヤ国の使者も協力してくれた。」

「使者が…?」


 そっか。

 私の願いは伝わったんだ。


「ところで、和心。改めて言う。」

「はい。」


 彼に向き合う。


「世界で一番愛している。我の妻になってくれぬだろうか?」


 その質問に私は世界一の笑顔でこう答えた。


「もちろんっ。」



【完】