いよいよ、夜になった。
扉がノックされて、肩が跳ねる。
「はい。」
緊張で声が上擦る。
「どうぞ。」
扉を開ければ、目の前に立っているのは承曜だった。
「失礼する。」
初めて、夜をこれから承曜と過ごす。
お互い寝台に腰かける。
そして束の間の沈黙。
お互いの肩が触れ合うか触れ合わないかの微妙な距離。
先に沈黙を破ったのは承曜だった。
「何年かかってもいい。だが、絶対に和心を皇后として我の妻として国民に認めさせる。」
「承曜…。」
彼の大きな手が初めて頬に触れる。
「それぐらい、和心のことを愛している。」
「……っ。」
涙が溢れそうになる。
本当は今すぐ承曜の胸に飛び込んで「私も愛しています。」って伝えたい。
だけど、言えない…。
そんな私を承曜は優しく包み込むように頭を撫でて、
「なぁ、和心。我は和心の舞が見たい。あの儚くも意思の籠った舞を。ただ、我のためだけに舞って欲しい。」
「はいっ…。」
部屋の中央に立ち、彼のために舞う。
最初は軽くてゆったりとした足取りで舞う。
楽器も歌もない。
ただ、靴が床を蹴る音と服の布が擦れる音がする。
観客は承曜一人だけ。
ステージとなるには狭い部屋で踊る。
だけど、これでいい。
でもこの空気を感じることもなくなるのだと思えば、悲しくてどこか虚しいという気持ちになる。
「……今日の舞は穏やかなんだな。」
舞は終わり、観てくれた感謝を込めて跪いた私に承曜はそう言った。
「だめ、でしたか?」
不安げに承曜を見る。
だけど、承曜の顔は満足気で
「いや、どんな舞であっても、和心が舞う舞なら好きだ。」
と言ってくれた。
そして寝台から立ち上がり、
「もう今日は遅い。早く寝よう。」
そう言って、部屋から去って行った。
その姿は何かを堪えているようにも見えて、私の胸を締め付けた。
行かないでって引き留めたくなる気持ちを抑え、私は扉の閉まる音を聞いた。
扉がノックされて、肩が跳ねる。
「はい。」
緊張で声が上擦る。
「どうぞ。」
扉を開ければ、目の前に立っているのは承曜だった。
「失礼する。」
初めて、夜をこれから承曜と過ごす。
お互い寝台に腰かける。
そして束の間の沈黙。
お互いの肩が触れ合うか触れ合わないかの微妙な距離。
先に沈黙を破ったのは承曜だった。
「何年かかってもいい。だが、絶対に和心を皇后として我の妻として国民に認めさせる。」
「承曜…。」
彼の大きな手が初めて頬に触れる。
「それぐらい、和心のことを愛している。」
「……っ。」
涙が溢れそうになる。
本当は今すぐ承曜の胸に飛び込んで「私も愛しています。」って伝えたい。
だけど、言えない…。
そんな私を承曜は優しく包み込むように頭を撫でて、
「なぁ、和心。我は和心の舞が見たい。あの儚くも意思の籠った舞を。ただ、我のためだけに舞って欲しい。」
「はいっ…。」
部屋の中央に立ち、彼のために舞う。
最初は軽くてゆったりとした足取りで舞う。
楽器も歌もない。
ただ、靴が床を蹴る音と服の布が擦れる音がする。
観客は承曜一人だけ。
ステージとなるには狭い部屋で踊る。
だけど、これでいい。
でもこの空気を感じることもなくなるのだと思えば、悲しくてどこか虚しいという気持ちになる。
「……今日の舞は穏やかなんだな。」
舞は終わり、観てくれた感謝を込めて跪いた私に承曜はそう言った。
「だめ、でしたか?」
不安げに承曜を見る。
だけど、承曜の顔は満足気で
「いや、どんな舞であっても、和心が舞う舞なら好きだ。」
と言ってくれた。
そして寝台から立ち上がり、
「もう今日は遅い。早く寝よう。」
そう言って、部屋から去って行った。
その姿は何かを堪えているようにも見えて、私の胸を締め付けた。
行かないでって引き留めたくなる気持ちを抑え、私は扉の閉まる音を聞いた。
