午前零時、籠にいられない私は裸足で舞う

 しばらくして使者は自国に帰って行った。

 もちろん私は連れて行かれていない。

 ここで、皇后として承曜の隣に立つ。

 やっと、束の間の平穏が訪れるだろうと思っていた。


「陛下ぁ~、やっと使者も帰ったことですし、俺に長期休暇ください。」


 使者が帰る少し前に実家に帰省していた承曜の側近。

 彼の名前は史博という。

 史博は代々皇家に仕えてきた騎士で小さい頃から宮殿を行ったり来たりしていた関係で、彼とは仲がいい。

 ちなみに、承曜が一応信頼できるということで側近と護衛騎士を兼任している。

 嫁に憧れを持ち、長期休暇にてお見合いをするも結果は惨敗してしまった。

 なのでこうして承曜に長期休暇を貰おうとしているのだ。

 そして私はというと、


『我の知らぬところで隠し事や無理をされたら困るからな。』


 という理由で承曜が仕事をしている執務室に来て、彼の仕事を眺めながらゆったりしている。

 たまに息抜きに散歩に行く以外は、自室と承曜の執務室を行ったり来たりするだけだ。


「ダメだ。これからまた国事があるのだからな。」

「はい?次の国事はまだまだ先だったはずですが?」

「和心という新たな皇后が誕生したことを国民に周知しなければならぬだろう?」

「……。」


 史博はその言葉を聞いて固まったあと、視線は私の方向へ。

 そして、ササッと私の近くにやってきて耳打ちするように言う。


「皇后様、前にも申したことがあったかと思うのですが、ほんとに陛下でいいんですか?不器用でパワハラで部下に一寸も優しくてめんどくさいですよ?」

「聞こえているぞ。罰として我の代わりにそこの溜まっている書類に国璽を押せ。書類には目を通した。机の右側にある書類に押しておけばいい。」

「はぁ!?というか、国璽を投げて来ないですよ。なんで私が…。」

「和心との距離が近い。以上だ。」

「嫉妬かよ!」

「さ、仕事は終わった。散歩に行くぞ、和心。」


 私の手を引いて外に連れて行こうとする承曜。


「は、はい…。」

「終わったのではなく押しつけの間違いでしょうがぁぁぁ!」


 扉の閉めた瞬間、史博の怒号が聞こえた。