午前零時、籠にいられない私は裸足で舞う

 使者が滞在する期間も折り返しとなった。

 私はあの東屋の一件以来、散歩は彼と一緒にするようになった。

 そして、お互い「和心。」「承曜。」と呼び合うようになった。

 好きな人に名前を呼ばれることがこんなに幸せで嬉しいものなんて、彼がいなければ知ることもなかっただろう。

 最初、私が


「承曜。」


と呼ぶと、いつかの外套を持った彼の側近が


「へ、へへへへへ、陛下…。い、いつの間にか皇后様と親しくなっていたのですか?」

「あぁ、“和心”はお前の知らぬところで逢瀬を重ねていたのだ。」

「その話詳しく!というか今さっき当てつけかのように皇后様を呼び捨てにしていましたよね!」

「ふん、悪いか?」

「わぁ、そのドヤ顔やめてくださいよ。我が主ながら腹立ちます。というより皇后様、本当にこんな横暴でパワハラ気質満載の不器用男でいいんですか?絶対にめんどくさいですよ。」

「ふふっ、はい。」

「これが、巷でのリア充…!リア充爆ぜろぉ!」

「相変わらずうるさいな。せっかくお前を他国の使者が来ているこの忙しいときに長期休暇に与えて、嫁探しの機会を与えてやったというのに……このザマとはな。」

「あぁ!言わないでくださいよっ!惨敗したんですから!シクシクシク…。」

「全く、帰って来たと思えば騒がしいやつだ。あいつが傷心中のうちに行くぞ、和心。」

「は、はいっ…。」

「リア充滅べぇ!」


 なんてことがあった。

 そういえば、最近使者が見当たらなくて聞いてみたところ、


「使者なら帝都のオークションを最近楽しまれているみたいですよ。」


 らしい。

 そう言えば、義母達もそういったオークションに出向いて珍しい骨董品を買っていたような気がする。

 まさか、義母達と使者が仲良くなったりなんて…いや無いな。

 帝都にはいくつものオークション会場があり、そして同じ時間帯に開かれているのだから。

 ましてや会ったりなんてするわけがないだろう。

 でも、胸の中で燻る不安は消えない。

 そして、私の読みは的中してしまった。