午前零時、籠にいられない私は裸足で舞う

 宴が終わり、自室に戻る。

 侍女が皇后姿の衣装を脱がせ、寝間着に着替えさせてくれた。

 そして侍女が出て行った瞬間、静かに部屋の中央で膝から崩れた。


「…はぁ…はぁ…はぁ。」


 宴の光景を思い出して、一人になった瞬間に胸が苦しみだす。

 荒い呼吸を繰り返す。

 ふと、牛郎女織の本が目に入り、心を安定させるためにパラパラと捲る。


「今日、じゃなくて良かった…。」


 いつも、心のどこかで今日こそは、今日こそは来るんじゃないか、と思っていたから。

 だけど、今日は来なくて良かった。

 こんな弱い姿は見せられないから…。

 だけど、少しだけ彼の声が聞きたくなった。


「ほんとうに、私ってば弱いな…。」


 本を抱えたまま、私は目を閉じて寝台ではなく床でいつの間にか寝てしまった。


「……陛下…。」


 そんな私の寝言と一筋の弱弱しい粒を知っているのは窓から見える月と星空だけだった。