午前零時、籠にいられない私は裸足で舞う

 足を一歩踏み出せば、宴の騒めきは静まり返って皆の視線が突き刺さる。

 まるで、冷たい水にいて肺が刺さるみたいで息継ぎができるのがやっとの状態だ。

 そんな私は今、その弱さを舞という鎧で隠して罪人から皇后を演じる。

 音楽に合わせて手を動かし、徐々に足の動きも入れる。

 大丈夫、ここは罪人としての私の公開処刑場じゃない。

 ここは、皇后である私の自己証明の場だ。


「っ…。」


 そんな矢先、つい癖でナシュタ・サバヤター国の舞の動作と混じってしまった。


「その舞は…。」


 使者の声がした。

 もしかして、バレた?

 すぐにカバーする。

 言い訳は幾つも思い浮かぶ。

 「私は舞姫として世界中を旅していたので、客人を心から歓迎するには私が知っている舞を少し交えてアレンジしてみました。」なんてそれらしいことを言えばいい。

 でも、それを言うにはほんとにアレンジを加えなければならない。


「っ…。」


 やるしかない。

 生きるために、演じ切るために、私は知っている舞の大技を披露する。

 笑いたければ笑えばいい。

 笑い返せばいいだけだから。

 祈りも神経の一本一本に魂を込めるのは大前提として速さ、回転、を自分の出せるトップスピードで魅せる。

 そのまま、空中で一回転をして着地と同時に終わりの礼を言って膝を着く。

 自己紹介までが舞いだ。

 私は完璧の笑顔で前を向き使者の目を射抜く。


「私は、常帝国の皇后。王和心です。以後、お見知りおきを。ニティヤ国からお越しいただいた皆様。」