午前零時、籠にいられない私は裸足で舞う

「陛下、ぜひ私の娘を妃に迎え入れてくれませんか?」


 庭園の桃の花を眺めていたら、そんな声が聞こえてきた。

 声の主は帝国でも権力がある一人、李家の人だ。

 そんな人が彼に娘の輿入れを頼み込むなんて、一回二回じゃないはず。

 ちなみに、李家の娘たちは美人なうえに教養もあり、愛想もある。

 彼はどんな決断を下すのだろう…と思いながら失礼ながらに聞き耳を立てていると、


「断る。」


 彼は即答して断った。

 え、なんで?

 李家の娘は彼の結婚相手としてふさわしいんじゃ…。

 しかも、結婚すれば彼にとっても李家にとっても双方利益になると思うのに…。


「しかし、陛下は皇后様との初夜はまだなされていないのだとか…。それに皇后様は出自が怪しい娘です。」


 そうなのだ。

 初夜をしていなくて出自が怪しい舞姫の私より、高貴な血筋で教養も愛想もある美人な李家の娘を妃として迎え入れるべき。


「断ると言っているであろう。これ以上我の機嫌を損ねるな。」


 彼は部下の一人を冷たい瞳で睨みつけた。


「も、申し訳ありませんでした…。」


 李家の人は逃げて行った。