可愛いの定義




 真城家のドアを開けると、たまたま花音に見つかり「何やってんの! 傘持ってんなら使いなさいよ!」とタオルを俺に投げて来た。

あ……そっか傘……

妹の詩乃が、五キロのダンベル片手に「うるさいなぁ……ああ、りょう兄…帰ってたんだ」と涼しい顔でいう。
「ちょっと! 風邪引くからちゃんと拭きな!」花音は、俺の濡れた髪をタオルでわしわし拭いた。
「花音姉は、構い過ぎたって…いい加減、弟離れしたら?」詩乃は、短いため息を吐いて苦笑した。
「はぁ?! 床が濡れるから言ってんでしょ!」花音が、詩乃を睨んだ。
 俺は、始まった兄弟喧嘩を横目に脱衣所へ入った。

 はぁ……真城家(うち)は、どうしてこんなに騒がしいんだ……

「一人になりたい……」俺は、長いため息を吐き独りごちた。