世界で一番会いたくないやつと、同じ学年で同じクラスとかこの先、絶望でしかない。出会いで、特級呪物(人の目には触れてはいけないの意)晒し、更にあんな大泣きする醜態まで致死量超えてる。俺は、両手で顔を覆い項垂れた。
そして、今、絶賛授業中なのだか隣の席から視線を感じ、目線をやると星野がこちらを見ていた。俺は、咄嗟に教科書で顔を隠したが、今度は、机をコツコツと指でやってくる。鬱陶しくて、星野を睨むと「教科書見せて」小声で言ってきた。
仕方なく、星野の方へ机を寄せ教科書を見える位置へ広げた。何気に隣りの席を見ると、星野は机に突っ伏し爆睡中。俺は、その気持ち良さそうに寝てる顔に悪態をついて改めて顔を見た。
天使の絵みたいな前髪、緩やかな曲線の眉毛と、長い睫毛はくるっと上にカーブを描いていて、口元は適度に厚みのある唇。その唇の端が切れて若干赤くなっていた。
「……何?」星野は、薄目を開けニヤッと笑う。
「っ! 何でも…ない」 俺は、無意識に伸ばしていた手を慌てて引っ込めた。
「ふ〜〜ん……可愛い」星野が揶揄うように笑う。
「真城? どうした?」先生が急に立ち上がった俺に声をかけてきた。
「……なんでもない……です」俺は、慌てて座り隣りの星野を睨んだ。
「ましろちゃん…可愛い」星野は、楽しそうに笑った。
クッソおおおお! 絶対! わざとた!
*
担任の佐々木先生が「HR終了します」と言うと教室が騒がしくなった。俺は、鞄に教科書や筆記用具を入れ席を立った。
「星野! また、おまえ他校の生徒と喧嘩したって! 大人しくしとけって言っただろう!」佐々木先生は、教室を出ようとした星野を捕まえた。
「はいはい、すみませんでしたね」星野は、悪びれる様子もなく、しれっと教室を出て行こうとする。
「星野! 居残って反省文な!」
「え〜〜〜〜今から用あんだけど」
佐々木先生は、星野を引っ張り教室から出て行った。それを横目に、教室を出たところで仲田と出会した。
「ましろちゃ〜〜ん」
「悠介……その呼び方やめろよ」
「冗談冗談!」仲田は、俺の肩をバシッとやって笑う。
「あれ? 真紘は?」
「ああ、先生に連れていかれた」
「また、まひろ…ほら、あいつ…あの顔だろ舐められやすいんだよ。喧嘩売られても相手にすんなって言ってんのに」仲田は、困った顔で苦笑した。
「仲良いんだな」
「まぁな、同中で高校だけでも出とこうぜって、高二になって来なくなってさ、心配しててたんだけど…気まぐれでも来てくれんならいいかなって」仲田は、屈託なく笑う。
仲田こと仲田雄介は、誰にでも話しかけるコミュ力の持ち主。俺の見た目が好奇の目で見られがちで、高一の時は一人だった。その方が、都合よかったしバレなくて済んだ。高二も同じなんだろうと思っていた。俺の噂は、皆、知っていて話しかけてくることもなく、雲の上の存在とか、王子様だの勝手に容姿だけが噂になっていた。そんな中、仲田だけが普通に話しかけてきてくれて、本当にいいやつだと思った。まぁ、俺をダシにやたら女子と交流したがるのは厄介だけど。
「だからさ、あんなんだけどりょうの事気に入ってるみたいだし、仲良くしてやってよ」仲田は、じゃぁといい駅の改札口に向かって行った。
そう言われても、星野に気に入られているようには見えない。何処をどう見て俺なんかを可愛いと言ってるのか、寧ろ、揶揄って面白がっているだろう。それに、俺の密かな趣味がバレてるし、兎に角! 要注意人物なのは間違いない!

