現代の夢文化と伝説についての民俗学的考察

録音音声文字起こし資料(抜粋)

※本資料は、民俗学ゼミ所属学生・古屋による
夢マッチングアプリ使用者への非公開インタビュー音声を
文字起こししたものである。
録音・編集は最小限に留めている。
プライバシー保護のため、個人が特定される情報は伏せた。



【インタビュー①】

被験者A(30代・男性)
録音日:202X年8月12日

古屋
えっと……夢アプリを使い始めたきっかけを教えてください。

A
最初は軽い気持ちです。
夢を共有できるっていうのが面白そうで。

古屋
使い始めて、変わったことは。

A
……夢から覚めたあとが、
ちょっとおかしくなりました。

古屋
おかしい、というと?

A
音です。
朝、目が覚めたのに、
まだ夢が続いてるみたいな。

古屋
具体的には?

A
足音。
部屋の中を、
複数人が歩いてる感じの。

古屋
誰かいましたか。

A
いないです。
一人暮らしですし。

(沈黙)

A
あと、水の音がします。

古屋
水、ですか。

A
ぽたぽたじゃなくて、
もっと……
溜まってる水が
揺れる音。

古屋
それは、いつ頃から。

A
夢で、
沼みたいなところに
立つようになってからです。



【インタビュー②】

被験者B(20代・女性)
録音日:202X年8月15日

古屋
夢から覚めたあとに、
何か違和感はありましたか。

B
あります。
正直、
話すの嫌なんですけど。

古屋
無理しなくて大丈夫です。

B
……知らない人の声が
聞こえました。

古屋
家の外から?

B
いえ、
部屋の中です。

古屋
何人くらい、でしたか。

B
分からないです。
重なってて。

古屋
内容は聞き取れましたか。

B
いいえ。
ただ、
話してる、
って分かるだけ。

古屋
姿は見えましたか。

(沈黙)

B
一瞬ですけど、
白い服の人が
立ってました。

古屋
どこに。

B
……部屋の奥です。



【インタビュー③】

被験者C(40代・男性)
録音日:202X年8月18日

古屋
夢と現実の区別が
つかなくなる感覚はありますか。

C
あります。
朝起きたはずなのに、
まだ、
向こう側に
足が残ってる感じがします。

古屋
向こう側、というのは。

C
……夢で見た場所です。

古屋
どんな場所ですか。

C
霧が深くて、
水があって。

古屋
川ですか。

C
沼だと思います。

古屋
そこで何か見ましたか。

C
向こう岸に、
人が並んでました。

古屋
誰か分かりましたか。

C
分かりません。
でも、
待ってる感じがしました。



【インタビュー④】

被験者D(年齢不詳・性別不詳)
録音日:202X年8月20日

D
……夢から覚めたとき、
身体が濡れてました。

古屋
汗、ではなく?

D
違います。
服も、
床も。

古屋
原因に心当たりは。

D
ありません。

古屋
水の匂いは。

D
あります。
ずっと。

古屋
それでも、
アプリは使い続けていますか。

D
……切っても、
切れてない気がします。