現代の夢文化と伝説についての民俗学的考察

――羽染翠、唯一の代表兼プログラマー
(週刊ビジネス誌『フォーカス現代』202X年8月号)

※江澤メモ
「一人で作れる規模を明らかに超えている」

羽染ソフトウェア研究所合同会社。
この聞き慣れない法人名を調べていくと、驚くべき事実に突き当たる。

社員数:1名
代表社員:羽染 翠(はぞめ・みどり)

それだけである。

本誌が確認した登記情報、過去の技術イベント登壇記録、
さらには古い技術ブログの執筆者情報を照合しても、
この会社に関わる人物は羽染翠ただ一人しか浮かび上がってこない。

羽染翠は30代後半とみられる女性エンジニア。
かつては大手IT企業の下請けとして、
音声解析・自然言語処理分野のフリーランス案件を請け負っていた形跡がある。

だがDreamSyncで使われているとされる技術は、

音声(寝言)の自動分類

夢内容の意味的類似性判定

ユーザー間の“夢の同期”マッチング

と、個人開発の範疇を超えた複雑なアルゴリズムを要する。

同業エンジニアは匿名を条件にこう語る。

「天才的なプログラマーなら理論上は可能かもしれないが、
一人で、しかも長期間にわたって保守・改修を行うのは現実的ではない」

それでも、DSプラットフォーム社の資料には
「開発パートナー:羽染ソフトウェア研究所」とのみ記載され、
チームや外注先の存在は一切示されていない。

羽染翠は表舞台に出ることを極端に避けており、
SNSアカウントも確認されていない。

“夢を見る仕組み”を作った人物が、なぜここまで姿を消しているのか。
その点に、業界内で静かな疑問が広がっている。