危険すぎる恋に、落ちてしまいました。番外編2

「美羽ちゃん……さっそくで悪いんだけど、横になっていい?」

悠真が限界の声を出す。

「あ!もちろん!そこのソファ使って!」

悠真は倒れ込むようにソファへ。
そして秒速で沈没した。

「すぴぃ……」

「早っ!」

美羽はタオルケットをそっとかける。

「警察官だもんね、お疲れ様。悠真くん。」

美羽がくすりと笑った、その背後で――

「美羽!さっそく何か手伝うよ!!」

莉子が腕まくりしかけた瞬間、
ぎゅ。

「莉子ちゃん?」

遼が莉子の後ろから抱きついた。

「包丁持つの危ないから、こっちでテーブルとか飲み物準備しよーね」

ウインク。
莉子の顔が赤くなる。

「もう!遼くん、あぶないってひどい〜!私、料理できるもん~!」

「ひどくないよ。莉子ちゃん包丁もったらとにかく危ないからね…」

「意味わかんないんだけど!!」

美羽は笑いながら、キッチンへ向かう。

「じゃあ……秋人くん、お願いしてもいい?」

「うん、任せて」

秋人のオッドアイが、やわらかく細まった。



今日のメニューはカレー。
鍋に具材を入れて、煮込んだら勝ち――のはず。
なのに。

秋人の手際が良すぎる。

じゃがいもを剥く手も、切る手も、鍋を扱う手も、全部がスマート。

美羽は思わず見惚れてしまった。

「すごい、秋人くん!料理得意なの?」

「一人暮らしが長いからね」

秋人はさらっと笑う。

「料理は人並みにしてるよ」

「私もやってるけど、そんな綺麗にじゃがいも剥けないよ〜」

美羽が羨ましそうに言うと、秋人はくすっと笑った。

「俺はどちらかというと――」

「毎日、美羽ちゃんのご飯が食べられる椿がうらやましいけどね」

「えっ……!?」

美羽の頬が一気に熱くなる。

「そ、そうかな……」

(だめだ、なんでこんなに心臓がうるさいの……!?)

美羽が動揺しているのに、秋人は自然に鍋に火をつけてしまう。
その“さらっと感”が余計にずるい。

そして――
美羽はピーラーを持ったまま、指をちょんと切った。

「いたっ」

「美羽ちゃん!?」

秋人が目を見開き、すぐに近づく。

「大丈夫?手、見せて」

美羽は指よりも、秋人の瞳を見てしまった。

(……やっぱり綺麗だなぁ。昔と変わらない……)

ぼーっとしている美羽に、秋人が少し笑った。

「ほら、出血してる。洗って、絆創膏貼ろう」

その瞬間――

ガチャリ。

玄関の音。

そして、低い声がした。

「……ただいま」

椿が帰ってきた。