彼女は王子様

「ひっひひひひ……緋沙ぁ!?」
「祐……」
「あら、二人は知り合いだったの?」
 不躾に遊亜を指差す祐と数度瞬きしつつ祐を見返す遊亜。
…驚きのあまり祐が席を立ち上がるとその反動から不安定な足場に身体がぐらつき、それを見た遊亜は咄嗟に椅子から腰を浮かせ祐の腰に手を回して支える。
「あ、ありがと……」
「どういたしまして」
 身体が密着する程の至近距離で顔を見れば、それは確かに祐の知る緋沙(ひさ)だった。
 目元を黒いアイライナーで囲っている所為か一目見ただけでは中々気付きにくいが一つ一つのパーツを挙げても祐の記憶にある緋沙に違いは無かった。
 緋沙は椅子に座り直し、人差し指でカウンターの上に置いてある灰皿を引き寄せた。
 二人は幼い頃から馴染み深い従姉弟同士であった。